第10章 カミングアウト
今日もみんなと一緒に食堂で昼食を食べる。
「零ちゃん、今日のヒーロー基礎学は救助訓練だよ」
出久の言葉に胸が弾む。
「おお!そんな授業を受けられるだけで幸せだよ」
普通なら午後の授業は寝てしまうが、それとこれとは話が全く違う。
「あれあれ?爆豪ってそんな感じだったっけ?」
「うわぁ、何でも煽る物間君だ!」
「はっ?」
私が本物の物間君を見て喜んでいると、物間君はかなり困惑している様子だった。
「えっと、爆豪と別世界の女の子が入れ替わってるんだよ!」
「はっ!?」
上鳴君の言葉に更に首を傾げる物間君。
その反応は仕方ない。
「私は松田零、よろしくね。本物に会えるなんて光栄です!」
「おっ、おお……」
まさかB組の方にも会えるなんて、雄英って最高。
「物間、また何してるの?」
「拳藤、よく分からない。爆豪と女の子が入れ替わって、えっと……」
「えっ?どういうこと?」
本物の拳藤ちゃんだ!
「すごい!本物をお目に掛かれるなんて光栄過ぎる!」
「えっ……」
興奮している私に後ろで軽く肩を叩かれた。
後ろを向くと、出久だった。