第1章 現実に生きる君へ
昼休みにたくさんの人が押し寄せてきた。
マジでウゼェ……。
「テメェら、うるせぇんだよ!とっととくたばれや!」
「おお!マジで爆豪だ!」
俺の言葉にイチイチ喜ぶ奴らがとてもうざい。
「テメェら、さっさと失せろ。ぶっ殺すぞ」
「おお!」
俺が何かする度に喜ばれることってあるのか?
コイツはそんなことあったのか?
「かっちゃん、本物みたいですごいね」
「本物だわ!クソが」
綾香が嬉しそうに笑う。
俺のファンとか本当に居るんだな。
それほど、俺が住んでいたアニメというのが売れたのか。
「本当に雄英ってどんな感じなの?」
綾香が目を輝かせながら聞いてきた。
「相変わらずデクが調子上げて来やがって、半分野郎もマジになってやがるし……」
俺は強くなろうとしてるのに、アイツらより上を行けない。
悔しいぐらい考えて、涙を流す夜もあった。
雄英はそれほど恐ろしい場所だったんだ。
「爆豪、気味悪いほど暗いよ」
「かっちゃん?」
紗希と綾香が心配そうに俺を見る。
「うるせぇ!俺は暗くねぇよ。クソが」
俺にぶつけられる壁は全部シナリオなのだろう。
コイツが経験した残酷な話ってなんだんだ?