第1章 現実に生きる君へ
この世界は俺が住んでるところよりも辛いことがたくさんあるってどういうことだ?
それはどこの現実でもそうじゃないのか?
「アニメみたいに何でも出来るわけじゃない。最初からストーリーを沿っては生きられない。必ず、残酷な壁にぶつかるんだよ」
紗希は暗い顔で意味深な言葉を言った。
「意味分かんねぇよ……」
「過ごす内に分かるよ。零ちゃんはどれだけ誤解されて生きてきたのか」
その言葉に一部の男子は体を震わせた。
「とりあえず、朝読書してね」
担任に注意され、机の中にあった本を出した。
その本は次元が違う男女が入れ替わる物語だった。
まるで、自分達のようだった。
授業は本当に普通でつまらなかった。
体育で暴れることは出来なかった。
何せ、この女子の体で暴れることは出来ないだろうし、頭が壊れたと言われるのは嫌だった。
「爆豪、息荒いよ」
「うるせぇ!このクソ女の体が弱いからだ!」
俺がいつもの通りに反論すると、皆がこちらを見る。
それほどコイツとは正反対なのだろう。
「零、どうしたの?」
体育の先生が心配そうな顔で聞いてきた。
この先生はコイツの元担任らしい。
「俺は体が入れ替わっちまったんだよ!」
「えっ!誰と?」
「二次元に住む爆豪勝己だ、知らなねぇのか?」
「ごめん、アニメは知らない」
この体育の授業のせいで、噂が一気に広まってしまった。