第9章 闇深き日記
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1月7日
冬休みの終わり。
私はもう全てが嫌で、早朝にこっそりと長野に逃げ出した。
もう笑われるのが、あの人の顔を見るのが、サッカー部の人に笑われるのが嫌なんだ。
もう限界なんだよ。
私は途方もなく歩いた。
どうやって死のうか考えながら。
どこで飛び降りて死のうか、なんてさ。
あの顔を思い出すと、もっと先に行けるような気がした。
もっともっと、遠いところへ……。
お母さんや紗希の電話を無視して歩いた。
それでも、貴方の顔を思い出すと胸が苦しい。
紗希が心配する顔、お母さんが泣いている顔。
私はそれを思い浮かべて、どうしようもない気持ちになった。
長野駅まで戻ると、私の足も心もボロボロだった。
交番で素直に事情を話し、警察署に行かされた。
私は警察署の人に全てを話した。
お母さんが迎えに来てくれた。
明日の始業式は休むことにして、どこかのホテルに泊まった。
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そんな、逃げるほどかよ……。
もしかしたら、デクもこうなって、ヴィランになってたかもしれねぇ。
そんなことを考えると、体が震えた。
自分はどれだけ最悪な人間だったか。
……ヒーローの資格なんてねぇよな。