第8章 死を望む者
――きっと、誰もが誰かのヒーロー。
それは本当だったかもしれない。
「零のバカ……!」
「ごめん……綾香。私ね、綾香にたくさん助けてもらってる。三年間一緒に居る紗希よりも」
私が存在を消そうと思いながら、一人で帰ってる時。
綾香がヒロアカを教えてくれた。
あの人が卒業して、修学旅行でヒロアカという共通の趣味で新たな友達が出来た。
私もヒーローに憧れてしまうくらい、ヒロアカの沼にハマっていた。
思考があの人のことが抜けて、ヒロアカで潰されて、楽になった。
あの人のことを早く忘れられそうだから。
「綾香のおかげでヒロアカに出会って、私の世界は変わってたんだよ……」
誰かを救おうとして頑張ってる出久達がカッコ良かった。
あまりにものスゴさに泣いてしまった時もあった。
ヒロアカって、けっこうすごいんだなって思った。
「ごめん。私、バカみたい……ごめんね、綾香」
「零……」
「ほら、もう部活始まってるよ!行こう、行こう!」
私は泣きながら、泣いている綾香の手を引っ張った。
死にたいなんて、もう言わないよ。