第8章 死を望む者
部活に出ると、綾香が心配そうに駆け寄った。
「零、昨日ヤバかったんだって!かっちゃんが、かっちゃんが……」
そこまで言って、綾香は黙って俯く。
「あの人達にいじめられて、かっちゃんじゃないくらい泣いてた」
かっちゃんが、泣いてた……?
「あっ、零!」
私は走っていた。
気付けば屋上に居た。
ここから飛び降りれば楽になる。
かっちゃんも入れ替わらずに住むでしょ?
「零!」
私は綾香の方に振り向く。
「……私の過去のせいで、かっちゃんを苦しめた。傷付けた!」
「零……?」
「私が存在するだけでみんなが嫌な気分になる……それなら、私は……」
私は屋上の手すりに力強く握った。
「やめて、零……」
綾香が涙目で私の腕を掴んでいた。
「そんな、やめてよ!零が悪いんじゃない。悪いのは、先輩達とサッカー部なんだよ!」
そして、綾香は私に抱き付く。
「死ぬのはダメだよ……」
「綾香……」
「かっちゃんがどんな気持ちで犠牲になったか知らないのに!かっちゃんだって、零のために頑張ってたんだから!」