第1章 現実に生きる君へ
「この世界、どうなってんだ……?」
俺が呟くと、意味が分からないという顔でみんなが俺を注目する。
「俺は昨日まで爆豪勝己で、今はこのクソモブ女で……意味分かんねぇよ!」
「はぁ!?」
周りの奴らは俺の言葉に驚く。
というか、口に出してしまった。
「零の体とかっちゃんの体が入れ替わったってこと?」
コイツの友達がそう言った。
「ああ、その通りだろ。クソが……」
「えー!?」
周りのモブ共は変な声上げてうるせぇ。
「私、かっちゃんの大ファンなの!綾香だよ、よろしくね」
俺は綾香の対応の早さに驚く。
俺の大ファンか、普通に可愛いじゃねぇか。
「三年間同じクラスで親友の紗希だよ、よろしくね」
紗希は靴とクラスを教えてくれた奴だった。
周りの奴らも興味津々で、順番に自己紹介してくれて、なんとなく分かった。
綾香が担任に説明すると、ものすごく驚いていたが、自己紹介してくれてこの学校についても教えてくれた。
「かっちゃんが居るところはテレビ、アニメ中で二次元って言うの。ここが本当の現実、三次元だよ」
「は、二次元、現実……」
綾香が説明してくれるが、俺にはよく分からなかった。
俺が住んでるところが二次元で、コイツの住んでる世界は本当の現実ってことなのか?
「この世界は君の世界のように何でも出来るわけじゃない。この現実がどれだけ残酷な世界か、零ちゃんが一番分かってる」
紗希の言葉がなぜか胸に酷く突き刺さった。