第1章 現実に生きる君へ
学校に入っても自分がどの学年でどのクラスか分からなかった。
自分の名前も分からなければ、靴すらどこにあるのか分からない。
「あっ、零ちゃん、おはよう」
後ろを振り向くと、笑顔が無駄に可愛い女が居た。コイツの友達か?
「おい、おっ……私の靴ってどこだ?」
「えっ?頭大丈夫?」
「うるせぇ!」
友達は俺を見てかなり驚いた顔をしている。
まさかコイツ、正反対な性格なのか?
コイツの友達なら信じてくれるだろうか。
「靴はここだよ。馬鹿だね」
「うるせぇ!」
軽くかわすということは、そこまで言葉遣いは変わらねぇみたいだ。
「クラスはどこだ?」
「えっ、どうしたの?」
「話は後だ。さっさと教えねぇとぶっ殺す」
「え~!」
俺のいつも通りの口の悪さに目を見開くコイツの友達。
「アンタ、頭大丈夫?」
「うるせぇ!テメェは黙ってろ、ぶっ殺す!」
「なんか、爆豪みたい」
「は?」
そこで俺の名前が出てきて驚く。
この世界には俺が居ないみたいなのに、周りは俺のことを知ってる。どういうことだ?
「おはよう」
「あぁ!?」
「えっ、零かっちゃんみたい」
「はぁ!?」
何でみんな俺のあだ名知ってるんだよ?
それはデク以外呼ばなくなったじゃねぇか?
この世界は何だんだよ?