第6章 家庭訪問
突然、出久が私の体をベッドに押し出した。
「零ちゃんでもかっちゃんでも女の子の体だったら本当に惚れてた」
「えっ……」
私、出久にコクられてるの……?
目の前で赤く染まった出久の顔はとてもカッコいいと思えた。
「かっちゃんは昔から好きだった。だけど、零ちゃんの性格にも惹かれた」
顔が近い……。
「僕も零ちゃんの世界に行って、君と過ごしたい。君のヒーローになりたい」
「それはもう遅いよ……」
「えっ?」
「去年、一番苦しかった時に現れてよ!好きな先輩にはストーカーだと勘違いされて、辛くて……もう嫌だったんだよ!」
あの時、君達が隣に居てくれたら……そう思ってしまうことがある。
思いが溢れ出てくる。
「どうして、私は普通に生きていただけなのに……こんな苦しい思いをしなきゃいけなかったの?」
「零ちゃん……」
「私が逃走しても何も変わらなかった。私が苦しんでると、あの人達は面白そうに嘲笑うんだ。もう怖くて嫌……」
どれだけ行動に起こそうと思ったけど、何も変わらなかった。
だから、もう嫌なんだ。
「かっちゃんが言ってたけど、僕らの世界より君の世界が厳しいって。それは、いじめとか言葉という凶器のせいなんだよね?」
「噂されるから……」
「みんな無個性なのに、偉そうにしてて酷いよね?僕の世界なら僕がいじめられるのも当たり前だけどね」
「当たり前なんかじゃない。人はみんな違ってみんな良い。一人一人の持ち味を本当は個性って言うんでしょ?」
本当の個性は一人一人が違う物を持ってる。
能力とかで決めつけてもダメだ。
性格や容姿で笑うのもいけないことだ。