第6章 家庭訪問
光己さんと話をつけた後、出久の家に向かった。
「出久、おかえりなさい。あっ、勝己くんも一緒なのね。じゃあ、上がって上がって!」
出久のお母さんも明るいな……。
案の定、出久の部屋はオールマイトに包まれていた。
「スゴいね、出久」
「女の子に見せるなんて恥ずかしい……」
「大丈夫だよ。私も以前好きだったアイドルのポスター貼りっぱなしだし、ヒロアカグッズも少しはあるから」
ヒロアカグッズは集めたくても無いことが多いので、運が良くあって買った物が多い。
田舎って、なかなか売られてないからね……。
「零ちゃんって、このヒロアカの世界で誰が好きなの?」
そう聞かれても、一人には絞れない。
かっちゃんも出久も轟君も好きだからな……。
『この世界で辛いことがあっても、俺の世界で存分に楽しんできてください』
「かっちゃんが書いた文面、優しいんだよね……」
「えっ?」
想像以上に優しさがあって、かっちゃんはとても良い人だ。
それを知ると、本当に選べなくなる。
「かっちゃんは怖いけど、ああ見えてすごく良い人なんだよ!意外とさりげないところが優しかったりするんだ」
出久の言葉も納得出来る。
二週間くらいこの『伝達用ノート』で話していたけど、彼はすごく優しかった。
「私はかっちゃんでも良いかもね」
「曖昧過ぎるね……」
出久の言葉に私は笑って見せた。