第3章 クソな日常の方が楽
昼食時間、俺はクソ髪とアホ面としょうゆ顔(瀬呂)に誘われて一緒に食べていた。
「爆豪、零ちゃんの世界ってどうだった?」
クソ髪に聞かれて、返答に詰まる。
俺らみたいにシナリオに沿った人生を送るとはわけが違う。
アイツらは、自分で自分の道を切り開いているんだ。
「俺のこともみんな知ってた……」
『この世界は君の世界みたいに何でも出来るわけじゃない。この世界がどれだけ残酷か、零ちゃんが一番分かってる』
紗希の言葉を思い出して、体が震えた。
誰かを助けてくれるヒーローなんて、居るわけが無いんだ。
「爆豪、どうした?」
クソ髪が心配そうな顔をしていた。
「いや、あの世界は俺の世界とは全然違う……俺が暴れるだけで、一部の人間が冷たい目で見てた……」
この世界では尊敬の目で見られていたのに、あっちの世界では酷く冷たい目をして見ているヤツが居た。
それは、軽蔑の目だった。
「俺が思っていた以上にあの世界の裏はシビアで……恐ろしいんだ。あの世界にヒーローなんざ居ねぇよ」
アホ面共が目を見開いて固まっていた。