第3章 クソな日常の方が楽
授業の合間にある休み時間、俺はアイツのことを聞くためにデクに聞いた。
「おい、デク」
「かっちゃん?」
「昨日のアイツはどうだったんだよ」
俺の質問に戸惑いながらデクは必死に思い出していた。
「零ちゃんもかっちゃんって呼んでたし、かっちゃんの個性を使うとものすごく興奮してた」
アイツが興奮するのも無理がねぇ。
あの世界には個性ってヤツがねぇのと、大好きなアニメの世界観を体験出来ていることに喜んでいたのだろう。
「零ちゃんの要望でクラス全員で昼食を食べて、零ちゃんがみんなのヤツ美味しそうに見てるから、みんなであーんしてあげたんだ」
「はぁ!?」
俺がみんなにあーんされてる……酷い地獄絵図だ。
「やっぱり、幸せそうだった。かっちゃんと真逆だったね」
「……」
怒りたくなったが、俺はぐっと堪えた。
そりゃアイツと性格は真逆だと思う。
アイツはこの世界に来て、幸せな1日を過ごしたんだろうな。
「なんか、こういう映画あったよね?」
「ああ、そうだな」
それは納得出来るので、反論はしなかった。
デクは俺と会話出来たことに喜んでいるのか、気持ち悪い顔になっていた。
チャイムが鳴り、俺は席に着いた。