第16章 マジの雄英
「今日は零ちゃんの先輩がかっちゃんと入れ替わったみたいです」
緑谷が代わりに説明してくれた。
「自分が犯した罪か……いじめというのは、個性があっても無くても恐ろしいものだ。お前らはそれを躊躇無くやっていたんだ」
相澤先生は目を赤くし、髪が逆立った。
体の震えが止まらない。
「人間として学び直していけばいい。人生色々あるんだ。そんな時もあるさ。ただ過去を見るんじゃない、今この瞬間を一生懸命生きてみろ」
「今、この瞬間を……?」
「過去なんか振り返らず、松田と新たな未来を歩んで行けば良いんだ」
俺達は、過去ばかりを振り返っていた。
だから、初めて話してみてもなんかもどかしい距離感だった。
『ブスのストーカーなんて興味ねぇんだよ!』
俺がどういう罪を犯したか、彼女がどれだけ苦しんだか、計り知れないものだ。
「早く学校に行くぞ。非合理的なことをさせるな」
俺は先生の言葉に立ち上がった。
「はい!」
新たな未来を彼女と歩みたい。
そう思えたんだ。