第16章 マジの雄英
「だけど、アイツはこんな俺に笑顔を向けてきたんだ。受け入れてくれたんだ」
あの笑顔を見た瞬間、俺は不思議な気持ちになった。
胸が不意に高鳴ったのだ。
「アイツは、楽しそうに君達の話をしてくれた。それがたまらなく嬉しかったんだ」
――好きだ。
あの笑顔を見た時、不意に思ってしまったんだ。
「緑谷、早くしねぇと遅れるぞ」
轟ってヤツも緑谷を呼びに来た。
「やっぱりあの子は僕と一緒だ。結果良ければそれで良し。僕もかっちゃんにいじめられても構わないって思っちゃうんだ」
俺のせいで血を流し、金を削らせてしまったのだ。
「俺は本当に生きてて良いんですかねぇ……」
緑谷は漫画でよく見る笑顔を見せた。
「零ちゃんに聞きなよ。零ちゃんが許してくれたら、君は生きてていいんだよ」
俺は涙を流していた。
自分がやってしまった罪をどう償っていけばいいか分からなかったんだ。
だけど、彼女がこんな酷い俺を受け入れてくれたら……。
「おい、早く……どうしたんだ、お前ら」
なかなか来ない生徒を迎えに来たのか、本物の相澤先生が登場。