第16章 マジの雄英
涼介side
目を覚ますと、そこは知らない男の部屋だった。
もしかして、本当に勝己と入れ替わったのか?
部屋の外に出ると、緑谷出久が笑顔でやって来た。
「おはよう、今日はかっちゃんだよね。かっちゃん、どうしたの?」
固まっている俺を見て、緑谷は首を傾げる。
「えっ、ここって、マジの雄英!?」
「えっ……」
やっと状況が理解出来た。
やっぱり、本当に来たんだな。
「俺は、涼介。零の事情を知っていたら分かるはずだ」
緑谷の顔は一気に血の気が引いていく。
零なら、緑谷か轟に教えてると思ってたのが的中した。
「君が、零ちゃんを……」
緑谷の表情に怒りが表れていた。
「おい、緑谷、爆豪……なんかあった?」
コイツが切島ってヤツだよな。
本物を目の前で見れるって、スゲーことだなぁ。
「君が零ちゃんを苦しめた先輩、張本人なんだろ?」
緑谷にズバリと言い当てられた。
「ご名答」
俺は睨み付ける緑谷に苦笑いをした。
「どういうことだよ、緑谷。零を苦しめた先輩って……」
「今日の入れ替わりは特殊だね。かっちゃんの願いを叶えるために君はここに来たんでしょ?」