第1章 君との約束、あなたとの約束
それから月日は流れ、映画公開の日。
その日は朝から、あちこちの映画館で舞台挨拶をした。
最後の舞台挨拶を待っている間、ヒロイン役の女の子がポツリと呟いた。
ヒロイン「改めて見るとラストシーン、凄くいいですね。私もあんな風に約束果たしてくれる相手がいたらいいなぁ………」
裕太「10年後またここで会おうって言われたら、ちゃんと約束を守るの?」
ヒロイン「うーん、どうだろう………10年たったら、お互いどうなってるかわからないですからね………必ず守るとは言えないですね」
裕太「そうだよね」
映画の中だから守れた約束。
現実の世界では………君はもう、忘れているだろうか…………
ヒロイン「玉森さん?…………玉森さん」
裕太「えっ?」
ヒロイン「急に黙ってどうしたんですか?」
裕太「えっ、あっ、いや……」
ヒロイン「もしかして玉森さんは、映画みたいな約束交わした事あるんですか?」
裕太「えっ、どうしてそう思ったの?」
ヒロイン「なんか、懐かしいような愛しい人を思う様な、そんな表情をしていたのでなんとなく」
俺、そんな顔してたんだ。
愛しい人か………
俺は今でも、君を想っている。
君は今、どこで何をしているんだろう………