第11章 嫉妬
……え!?
突然のリヴァイの行動に、マヤは大きく目を見開くことしかできない。
すぐそこ… 20センチあるかないかの場所にリヴァイの顔。超至近距離で見るリヴァイの肌は染みひとつなく、毛穴すら感じられない白い肌。切なそうに眉を寄せている。
そして深い夜の色をしたリヴァイの瞳に マヤが吸いこまれそうになったそのとき、ゆっくりと顔が近づいてきた。
…………!!!
キスされる… そう思った瞬間、リヴァイはマヤの左の口角をペロリと舐めた。
「な、な、何するんですか…!」
「お前が食べろって言ったんだろうが」
「へ?」
「クリーム… つけすぎだろ…」
そう言いながら後頭部にまわした手にグッと力をこめると、今度はマヤの右の口角をペロリと舐める。
リヴァイの舌がふれた瞬間、その熱さと湿り気でマヤは躰が震えた。
カーッと顔が熱くなり、胸がドキドキする。
リヴァイを見上げると、マヤをとらえて放さないその瞳は揺らいでいた。
マヤは羞恥心を隠すために、声を絞り出した。
「……クリーム ついてました…?」
「……あぁ」
「………」
「なんだ」
「……キス… されるのかと思っちゃいました…」
マヤのその言葉を聞くと、リヴァイは口角を上げた。
「ほぅ…、キスされてぇのか」
リヴァイの顔が近づいてくる。
…………!!!
マヤは、心臓をぎゅっと掴まれたような感覚に襲われる。
……やだ 嘘でしょう!? リヴァイさん、どうして!?
混乱して息ができず、苦しい。
「からかわないでください!」
気がつけばマヤは、リヴァイの胸を全力で押し返していた。
リヴァイの体はマヤが押したところでびくともしなかったが、リヴァイは動きを止めマヤをじっと見たあと視線を外した。
「……お前の言うとおり、美味いクリームだな」
そうつぶやきながらリヴァイは、マヤの後頭部にまわしていた手を離し、小さな子をあやすようにポンポンと頭を撫でた。