第18章 二千年後の君へ
そして今 秒針と睨めっこしている訳だが、背後から不機嫌な声が刺さってくる。
「おい てめぇ、いい加減にしろ!」
怒ったリヴァイさんは、私を背後からガシッと抱きしめてきた。
「俺とスマホと どっちが大事なんだ!」
……待って! あと5秒 4・3・2・1…。
秒針が 0時ちょうどを指した。
私はリヴァイさんの腕の中で向きを変え、愛をこめてささやいた。
「リヴァイさん お誕生日おめでとうございます」
そしてそっと… リヴァイさんのくちびるに口づけた。
リヴァイさんは呆気にとられていたけれど、すぐに私だけにわかる優しい顔をした。
「……マヤ…」
「日付が変わった瞬間に 誰よりも早くお祝いしたかったんです」
「……煽りやがって…」
リヴァイさんは私の両手首を乱暴にシーツに押しつけると、その行動とは裏腹の蕩けるような優しいキスをした。
「……マヤ… 愛してる…」
「……リヴァイさん… 私も愛してる…」
私はリヴァイさんと一緒に溺れる めくるめく恍惚の時間に、瞬く間に落ちていった。
リヴァイは、マヤの美しい髪を梳いていた。
今 彼女は、リヴァイの逞しい腕の中で静かな寝息を立てている。安心しきったその顔は、純真な少女そのものだ。
二年前のクリスマスに No Nameの解散を覚悟して、マヤに想いを伝えた。
互いの想いが通い合ったあの奇跡のときは、今もリヴァイの心を静かな感動で満たす。
……マヤ、俺はあのときと全く変わらぬ… いやそれ以上に強く、お前を愛している。
この想いは二年経った今も… いや… この先 二十年… 二百年… 二千年… 幾千年経とうとも、揺るぐことはない。
この肉体が朽ち果てようとも俺の魂は、マヤを求めて 果てなき時の流れを彷徨う。
そう確信できるのは、きっと俺は今までも そうしてきたからに違いない。
きっと幾千年前からマヤを愛し、求め、守りつづけてきたのだろう。
そしてこれからも未来永劫に、マヤだけを愛し、求め、守りつづける。
何度でも約束しよう。
揺るぎない想いと誓いを心に、マヤよ、俺は お前だけを永遠に愛しつづける。
リヴァイは、マヤの髪に愛をこめて優しく口づけた。
【完結】