第9章 紅茶
「お待たせいたしました~」
甲高い声の女性店員が ガラガラとワゴンを押して、アフタヌーンティーセットを持ってきた。
「わぁ… 素敵!」
マヤは思わず声が出た。
豪華な三段のティースタンドに、美しい花柄のティーポットとカップ&ソーサー。
ティースタンドの上段には、ガトーショコラ チョコレートマカロン モンブラン 抹茶のクリームケーキ。中段には、チョコレートクリームムース 抹茶のブランマンジェ マチェドニア。下段には、ハムと胡瓜のサンドイッチ チーズパイ ほうれん草のキッシュ。
別添えの皿には、プレーンスコーン チョコチップスコーン クランベリースコーン。いちじくのジャムとクロテッドクリームを添えて。
「砂時計の砂が落ちましたら、紅茶を注いで召し上がってください」
女性店員はリヴァイだけを見ながらそう言って、名残惜しそうに厨房に帰っていった。
マヤはアフタヌーンティーセットの豪華さに夢中になって、はしゃいだ。
「リヴァイさん! 写真撮っていいですか!?」
「あぁ、好きにしろ」
スマホを出してカシャカシャ撮っていると、ふとマヤは気づいた。リヴァイさんが背景に写る!
マヤはリヴァイに気づかれないように、リヴァイの顔にピントを合わせ こっそり撮った。
……なんだか隠し撮りみたいで ちょっぴり気が引けるけど、これくらい… いいよね?
思いがけず手に入れたリヴァイの画像をピンチアウトしてみる。
眉間の皺まで、しっかり写ってる!
マヤは これは宝物にしなくちゃ!と、心の中で叫んだ。