第8章 職業
ぶおぉぉぉ!
マヤは お風呂を上がって今、鏡を見ながらドライヤーで髪を乾かしている。
ダークブラウンの髪は、まっすぐ背中の真ん中辺りまで伸びている。
手櫛で髪を わしゃわしゃと揺らしながら、ドライヤーの温風を当てていく。
毎日おこなう動作をしながら、マヤは ぼーっと今日の出来事を思い返していた。
……リヴァイさんと笑い合ってから、あっ リヴァイさんは笑ってないって言い張っていたけど…、あのあとぎくしゃくしなくなって、リヴァイさんと普通に話せて本当に良かった。
別れるときに「ゆっくり休め」って今までどおりに言ってくれた。私、あの「ゆっくり休め」に弱いのよね。どうしてかな? じわっと温かい気持ちが胸の奥に広がる感じがする。
明日も会えるかな?
毎日でなくていいから、リヴァイさんが「暇つぶし」に顔を見せてくれたら嬉しい。
本心をいえば 「約束」して確実に会いたいけど、今は少しずつリヴァイさんとお話して、距離を縮めないと。
仲良くなれたら、年齢やお仕事を訊いていいかな? 連絡先も交換できるかな?
あっ お仕事は夜にしているって言ってたよね。
夜にする仕事?
……なんだろう…?
マヤはドライヤーを止め、目を閉じてリヴァイを思い浮かべた。
もはや美貌といって差し支えのない顔、華奢なのに筋肉はすごくてセクシーなことこの上ない。白い手は骨張っている。その長い指先が奏でる仕草は、妖艶で目を奪われる。
大人の男の色気とでもいうのだろうか。
……夜の仕事
……セクシーなリヴァイさん
……
……
マヤは、深みのある琥珀色の目を大きく見開いた。
……ホストだ!!!