第7章 不在
マヤは、リヴァイと自分の関係の希薄さを思い知らされた。
……どうして私は当たり前のように、駅でリヴァイさんが待ってくれていると思ったのだろう。
一緒に図書館に行って、公園に行って、家まで送ってもらって。
どうしてそれが、これからもつづくと思っていたのだろう。
私は… リヴァイさんのことを何も知らないのに。
会いたいのに、連絡先すら知らない。
マヤは リヴァイ恋しさに記憶を手繰り寄せていた。
眉間に皺を寄せた顔。忌々しく舌打ちする顔。マヤの話す何気ない日常を聞いて「そうか」と言ってくれたこと。「ゆっくり休め」の声。
今ここにいるマヤが そのまんまのマヤで、それでいいと言ってくれたこと…。
……でも何か… もっと肝心なことを忘れている気がする。
なんだろう?
マヤは、必死で思い出そうとした。
そして… それを思い出してしまった。
……思い出さなければ良かった。
リヴァイは「暇つぶし」だと言っていた。
……きっと 暇ではなくなったのだろう。
もう会いに来ることはないだろう。そして、こちらから会いにいくこともできない。
マヤの心は、深く深く沈んだ。