第7章 不在
「それはそうと恵子、彼とはその後 どうなってるの?」
エミは興味津々だ。何故なら恵子は夏休みに彼と沖縄に泊まりにいって、一足早く「卒業」していたから。ちなみにその旅行は、表向きは恵子とエミの二人で行ったことになっている。
「会えば… 求められるかな…」
「うわ~! そうなんだ」
顔を赤くしながら話す恵子を見て、マヤは綺麗になったな… と思った。やっぱり恋は、女の子を綺麗にするものなのかな。良いことは伝えなくちゃと、マヤは恵子に言った。
「恵子、綺麗になったね」
エミも同調する。
「うん 私もそう思う! やっぱ恋しなくちゃダメだよね」
「マヤもエミも 好きな人いないの?」
「いないのは恵子が一番よく知ってるくせに。ね、マヤ!」
「あっ…、う、うん… そうだね」
「あれ… 何? まさか好きな人できたの?」
「ちがうちがう!」
「え~、怪しい!」
「……ちょっといいなって思う人が できただけ…」
「「マジで!?」」
エミと恵子は同時に叫ぶ。マヤは今まで一度たりとも、誰かを好きだとか かっこいいとか言ったことがなかったからだ。