第6章 公園
「子供のころって みんな夢があるじゃないですか。男の子だったらサッカー選手、女の子だったらケーキ屋さんとか…。あっ リヴァイさんは何になりたかったんですか?」
「……さぁな」
つれない返事をするリヴァイに微笑みを向けると、マヤは話をつづけた。
「まわりの子はみんな、将来なりたい職業や夢があったのに… 私には何もなかった。何故か勉強はできたので、何も目的がないまま良い成績を残してきました」
マヤは、ごくりと唾を飲みこんだ。
「気がつけば… いつも両親の顔色ばかり見ていました。良い成績を取れば両親が喜ぶ、褒められる…。ただそれだけの理由で勉強して、今の高校も両親の希望で入学しました。私は別に今の高校にいきたかった訳ではない。私はどちらかと言うと、地元の高校にいきたかったんです」
マヤの方をじっと見るリヴァイと一瞬視線を絡めると、マヤは次の言葉をつないだ。
「大学だってそうです。別にいきたいところはない。かといって進学せずに何かやりたいことがある訳でもない。いつか自分の夢が見つかるのかと思っていたけど、まだ見つかりません。いや… 見つかる気配すらないです。今も… 子供のときと全く同じで両親が喜ぶから… ただそれだけの理由で受験しようとしています」
一息つくマヤに、リヴァイは それで?と低く言う。
「自分でもよくわからないけど、こんなの駄目ですよね? 変ですよね? こんなんじゃ私… なんのために生きてるんでしょう?」
マヤの目は話すうちに涙でいっぱいになって、あふれそうになっていた。