第6章 公園
公園のベンチには 年老いた女性が買物袋を膝に置いて座っていた。リヴァイは どうする?と言いたげな顔を、マヤに向けた。
「ふふ、リヴァイさん ブランコにしましょ!」
マヤは笑いながら先にブランコに腰かける。リヴァイは眉間の皺を一層深くしながら、マヤの隣のブランコに座った。
「リヴァイさん、ブランコが似合ってないですよ」
「うるせぇな」
住宅街にある公園は、穏やかな時を刻んでいた。
リヴァイはマヤが話し始めるのを、静かに待った。
「……リヴァイさん、あの… 私…。なんて言えばいいんだろ…」
「ゆっくりでいい」
「……はい。私… 東聡大学を受けるつもりです」
リヴァイは軽くうなずく。
「でも… 東聡大学にいきたい訳じゃないんです」
「あ?」
「えっと… 別にどこでもいいんです」
マヤの話が見えてこなくて、リヴァイは眉をひそめる。
「私ね、子供のころからそうだったんです。自分が何をやりたいのか… わからなくて」
マヤは、堰を切ったように話し始めた。