第6章 公園
翌日 物理室から教室に移動していたマヤは、担任の諫山創先生に呼び止められた。
「風丘、来月頭にはセンター試験の出願だが、科目の選択は終わっているか?」
「はい、大丈夫です」
「まだ猶予があるから今一度、親御さんとも話し合ってゆっくり決めなさい」
外部受験を希望しているのはクラスでは マヤ一人だ。それもあってか諫山先生は、こまめに声をかけてくれる。
だから受験の流れ的には不安は感じなかったし、志望校も一貫して東聡大学だ。
ただマヤは、もっと底知れぬ不安を拭いきれなかった。
その不安を抱えたまま、家の最寄り駅に帰ってきた。
いつもどおりに壁に寄りかかって腕を組んでいるリヴァイの姿を見ると、小走りでそばに寄る。
二人は図書館に向かって歩き始めたが、リヴァイはマヤの様子がいつもと違うことに気づいた。
「マヤ、何かあったのか?」
「リヴァイさん…、私 どうしたらいいかわからなくて…」
「話を聞こう」
二人は図書館には行かずに、まっすぐ公園に向かった。