第6章 公園
その公園は、ブランコと滑り台とベンチが一つあるだけの小さなものだ。
リヴァイとマヤは、ベンチに腰を下ろした。
「………」
自分から公園で話そうと誘ったものの、マヤは急に恥ずかしくなってきて言葉が出てこない。
リヴァイは じっとマヤを見ていたが、静かな声で訊く。
「どうした。何か悩み事でもあるのか?」
「……いえ そういう訳じゃないんですけど…」
マヤは下を向いたまま、ぼそっとつづけた。
「……リヴァイさんのこと… もっと知りたいなって…」
「……そうか」
マヤは恥ずかしくて顔を上げることができなかったので気づかなかったが、リヴァイの瞳は激しく揺らいでいた。
結局その日は、黙ってベンチに座っただけで何も話せなかった。
家の前まで帰ってきたマヤは、申し訳なさそうに謝った。
「ごめんなさい…。私 変なこと言っちゃいましたね。忘れてください…」
「いや、俺もお前のことが知りたい。明日 公園で話そう」
リヴァイの声に熱を感じ ハッと顔を上げたマヤは 、じっと自分を見つめる切れ長の美しい瞳に囚われてしまった。