第5章 帰り道
翌日の16時過ぎ、マヤが家の最寄り駅の改札を抜けると、リヴァイが壁にもたれかかって腕を組み うつむいていた。
……いた!
マヤは、リヴァイが絶対待っているような予感がしていた。
これは どう反応したらいいんだろう。ニッコリ笑って「こんにちは」とでも言うのか? それとも無視…?
マヤは後者を選んだ。
リヴァイには気づいていないふりをして、通り過ぎる。
リヴァイは顔を上げない。
よし! 気づかれていない。このまま…!
……と歩調を早めた矢先、低い声が追いかけてきた。
「おい」
仕方なく振り向くと、リヴァイが眉間に皺を寄せて立っている。
「リヴァイさん…。こんにちは…」
「お前、今俺に気づいていないふりをしただろ」
「してません! そんなこと… してません…」
「まぁいい。……行くぞ」
リヴァイは何故か、わずかに口角を上げて歩き出した。
振り返りながら訊いてくる。
「図書館に行くのか? 家に帰るのか?」
「図書館に行きます…」
「そうか」
マヤには先を行くリヴァイの足取りが、心なしか軽く見えた。