第3章 学校の正門
良かった…。体で払うとかじゃないんだ…。
マヤは心底ほっとした。安堵のため息をついていると、男の声が降ってきた。
「わかったら早くしろ」
お金じゃない、体でもない。それは良かったけれど、つきあってほしいところって何?
そんな… こんな全然知らない人と、車に乗ってどこかに行ける訳なんかないじゃん。
マヤがぐずぐずしていると、今日一番 不機嫌そうな声が聞こえてきた。
「はぁ… お前 めんどくせぇな。おい、いい加減にしろ!」
「いい加減にしろって… あなたの方こそ おかしいんじゃないんですか!?」
「あ? 何をキレてやがる」
「大体、見ず知らずの人の車に乗れる訳ないでしょう!」
「………」
今度こそ ここから去るんだ。きびすを返したそのとき… それは聞こえてきた。
「……リヴァイだ」
低い感情のない声。思わず振り返ると、男はもう一度言った。
「俺はリヴァイ、……リヴァイ・アッカーマンだ」