第3章 学校の正門
「あの…、わざわざ届けてくださったことは感謝しています。お礼ってお金を払えばいいですか?」
体で払うとかできないし、とりあえず払える範囲のお金だったら さっさと払ってしまって、この訳のわからない状態から抜け出したい。
「金なんかいらん。ごちゃごちゃ言っていないで早く乗れ」
やっぱり体だ!どうしよう、どうしたらいいの?
誠心誠意 謝ったら、許してくれるだろうか。
「ごめんなさい。屋上に勝手に入ったことも、落とし物を届けてくださったことも、全部全部ごめんなさい。でも あなたの言うお礼なんて、そんなこと… 私にはできません。どうか許してください」
「お前、何か勘違いしてないか?」
「え? だってお金じゃないんだったら…、あの その…そういうことですよね?」
「そういうことって?」
「だから…その… 体で払うってこと… です…」
自分で言っていて恥ずかしくなってきて、最後の方は消え入りそうな声になっていた。
「ハッ、違ぇよ」
「違うんですか?」
「ちょっと つきあってほしいところがあるだけだ」
男の雰囲気が、ほんの少しだけ やわらかくなった気がした。