第3章 学校の正門
しかし、マヤは腕を男に掴まれて動けなくなってしまった。
「待て」
「ちょっとなんなの?」
「礼をしろ」
男はそう言うと、マヤの腕を掴んだまま歩き出す。
「離してください!」
マヤは必死で逃げようとしたが、ものすごい力で掴まれていて成す術もなかった。
そのままズルズルと引きずられ、角を曲がった所にあるコインパーキングの前で やっと解放された。
「痛! 何するんですか!!!」
男は無視して、
「乗れ」
そこに駐車してある黒いポルシェに視線をやった。
「は?」
「さっさと乗れ」
「どうして!?」
「礼をしろと言っているだろうが」
お礼って何よ…。お金だろうか。
……確かに落とし物を持ってきてくれたのだから、その交通費とか手間賃+感謝の気持ち代?
いやいやそれだったら車に乗る必要ないよね?
ま、ま、まさか… 体で払えとか?