第18章 二千年後の君へ
私が東聡大の2年生になり 7月に誕生日を迎え20歳になると、リヴァイさんは私の親に挨拶に行くと、毎日うるさく言うようになった。
結婚を真剣に考え おつきあいしていると、私の親に誓い きちんと承諾を得たいらしい。
私は母には、リヴァイさんとおつきあいしていることは打ち明けていた。
母は最初、私のおつきあいしている相手がエルヴィン社長でないことに少なからず落胆していたが、リヴァイさんの写真を見せたら コロっと態度を変えた。
私は生まれて初めて、母が結構な面食いだと知った。
7月末のある日、リヴァイさんは私の両親に挨拶にやってきた。
ビシッとスーツを着こなしたリヴァイさんは、途轍もなく男前で私は軽く目眩がした。
オールバックのリヴァイさんは、後にも先にも このときしか見たことがない。
母はさらに リヴァイさんの圧倒的支持者となり、私の恋の味方をした。
父は もちろんリヴァイさんのイケメン度などに全く左右されることはなく、“娘を奪われる父親の不機嫌さ” を見事に体現していたが、リヴァイさんの礼儀正しさや、真剣に私を大切にすると訴えるその様子に少なからず心を動かされたようだ。
おまけに父は高校のとき、軽音楽部でギターをやっていたらしく、気がつけばリヴァイさんとロックの話で盛り上がっていた。
私は父が軽音楽部だったなんて聞いたこともなく驚いていると、父は “母さんがクラシックファンだから合わせていたんだよ” とウィンクした。
こうして晴れて正々堂々と、リヴァイさんと “結婚を前提におつきあい” していることになった私は、自然と週に一度土曜日に、リヴァイさんの住むタワーマンションに泊まるようになった。
お泊りをするようになって数か月が経ち、今ではコンシェルジュさんとも すっかり顔馴染みだ。
この日も 私がエントランスに姿を現すと、
「いらっしゃいませ、風丘様」
と、にこやかに出迎えてくれた。
今日は、私とリヴァイさんが気持ちを通じ合わせ、おつきあいを始めてから二回目のクリスマスだ。
私はクリスマスディナーを手作りしようと、両手いっぱいに買った食材とともにエレベーターに乗りこみ、39階のボタンを押した。