第18章 二千年後の君へ
「おい」
………。
「おい!」
………………。
リヴァイさんとベッドで愛し合ったあと、その余韻を楽しむように彼の腕の中で寝ている… のが いつものパターンなのだが、今は違った。
私は今、彼に背を向け必死でスマホの時計アプリの秒針を凝視している。
今日は この部屋に来てから、目まぐるしい時間を過ごした。
“優雅に彼の部屋でクリスマスディナーを作る” はずが、部屋に入った途端に三角巾とマスクとエプロン姿のリヴァイさんに年末の大掃除を手伝えと言われ、これ以上どこを綺麗にするんだ状態の部屋を掃除させられた。
掃除で へとへとになった私に、リヴァイさんは お前はそこに座っていろと命令し、ちゃっちゃと私の買ってきた食材で、プロですか!みたいなクリスマスディナーをこしらえてしまった。
……絶対 私が作るより、見た目もすごいし味も美味しい…。
少し気持ちがへこんだ私だったけれど、リヴァイさんの作ってくれたクリスマスチキンにシチュー、野菜のクリームスープのパイ包み、クリスマスリースの形に飾られたサラダがあまりにも美味しくて、すぐに元気を取り戻した。
私は ぱくぱくとディナーを平らげてから、とんでもない失態に気がついた。
「あ!」
「なんだ、でけぇ声出すな」
「リヴァイさん! 私 ケーキ買うの忘れた!」
クリスマスイヴに ケーキを買うのを忘れるなんて、なんて間抜けで馬鹿なんだろう。
半泣きの私に、リヴァイさんは優しくささやいた。
「馬鹿、ケーキなんか要らねぇ。デザートはお前だ」
そしてそのまま抱きかかえられ、本能のおもむくままに愛し合った。