第18章 二千年後の君へ
「またまた~! マヤちゃんを他の男に取られないか心配で、手元に置いときたいだけのくせに」
リヴァイは、ハンジを殺しそうな勢いで睨みつける。
「あの…、突然のことで…。少し考えさせてください。それに学費を出してもらってるし 親に相談なしでは決められません…。それに何より大学に受かるかどうかも…」
「勿論だよ。今すぐにって話ではない。そういう心積もりをしてほしいってだけだ。それに学業優先で、マネージャーといっても週に数回の業務でかまわない。わかったね」
諭すように言うエルヴィンの言葉に、マヤは ほっと安堵のため息を漏らした。
「……わかりました。スミスさんには、ずっとお世話になりっぱなしで…。色々とありがとうございます」
「あぁ そうだ、ひとつ大事なことを言い忘れていた。風丘さん、これからはスミスさんではなく、エルヴィンと呼んでくれないか。私も君をマヤと呼ぼう。いいね?」
「はい…!」
マヤは、花が咲いたような笑みを見せながら返事をした。
「さてエルヴィン! もうそろそろ私とモブリットは失礼するよ!」
ハンジのその声で、場はお開きになった。
地下駐車場でマヤは家に送ってもらうためにリヴァイの黒のポルシェに乗りこんだ。
リヴァイがエンジンをかけたとき、パッパァァとクラクションの音がした。
モブリットの黒のベンツのVクラスの窓からハンジが顔を出し、手を振りながら何か喚いている。
……チッ…。
リヴァイは面倒くさそうに、パワーウィンドウを下ろした。
「ハッピーバースデー! リヴァイ!」
ハンジが大声で叫ぶと、Vクラスは ブォンブロロロと走り去った。
「リヴァイさん お誕生日なんですか!?」
マヤは驚く。
「……あぁ」
「おめでとうございます!」
「……知ってたら… 何かプレゼントを用意したんですけど」
「プレゼントなら… もうもらった」
「……え?」
「お前が、最高のプレゼントだ」
マヤは その言葉に頬を染める。
「……マヤ… もう一度プレゼントをくれないか…」
リヴァイはエンジンを切ると、マヤの左頬にそっと手を添えた。
「……はい…」
あふれる想いを互いの瞳に認め合いながら、ゆっくりと二人のくちびるは重なった。