第18章 二千年後の君へ
「……てめぇ マヤの気持ちを知ってたんなら、何故言わねぇ」
「リヴァイ、お前は追加公演をふいにしたんだぞ。その代償に少しくらい我々に、娯楽を提供してくれても罰は当たらないと思うがな」
「いや~ 面白かったねぇ! リヴァイが悶々と、この世の終わりみたいな顔して悩んでさぁ! 両想いだっつーのに。なぁ、ミケ!」
ハンジの方に顔を向け、ミケも あぁと鼻で笑う。
「クソメガネ、てめぇ いつから知ってたんだ」
「リヴァイが思い詰めた顔して、日本に帰るとか言い出したあとだよ」
ハンジは少し真面目な顔をして、言葉を継いだ。
「いや~ 結果としては、上手くいって万々歳だけどさ、追加公演はおじゃんになるし、モブリットがどれだけ色々と走りまわったか考えてほしいよねぇ!」
「……ハンジさん。俺のことはいいですから」
「まぁ モブリットもこれからは、マヤちゃんの加入で楽になるんだからいいんだけどね!」
マヤはびっくりして、思わず会話に入ってしまった。
「私の加入?」
「あれ? リヴァイ、マヤちゃんに言ってないのかい?」
「……まだだ。物には順序ってもんがあるだろう。これから言うところだ」
「ったく ほんと屋上であんな長い時間、何してたんだろうねぇ!」
フンとミケが笑い、モブリットが慌てて、ハンジさん あんまりプライベートなことには…とあたふたしている。
混乱してきたその場を、エルヴィンの声が制した。
「風丘さん、君には守ってもらいたいルールがある」
「……はい…」
マヤは緊張して、エルヴィンの次の言葉を待った。
「No Nameの素性を知る者は、特別な者だけだ。配偶者であったり、それに相当する婚約者や恋人であったり…」
「……はい…」
「君はリヴァイとこの先ずっと、ともに生きる覚悟があるんだね?」
「はい。あります」
「よろしい。では提案なんだが、君が来春 無事に大学生になったら、No Nameの…いや リヴァイのマネージャーとして雇いたい」
「はい?」
想像もしなかったエルヴィンの提案に、マヤの声は裏返ってしまった。
思わずリヴァイの顔を見上げる。
「……そういうことだ。こんな仕事柄、そうでもしねぇと お前と一緒にいられないからな」