第17章 揺るぎない想いと誓い
「おい」
先に口をひらいたのは、リヴァイだった。
マヤは すでに涙でぐちょぐちょになっている顔を、リヴァイに向けた。
「……はい」
「お前… 何故 泣いている…」
「リヴァイさん…、私…!」
マヤは胸の中で激流の渦のようになって駆け巡る想いを、上手く言葉にすることができずに、ただ感情に任せて泣いた。
ひっくひっくと小さな子供のように泣きじゃくるマヤの頬に、リヴァイはそっと左手を伸ばした。
頬を伝う涙を、優しく拭う。
「……逢いたかった…」
涙を拭っていた指が、マヤのそのひとことに動きを止めた。
マヤは泣きじゃくるのをやめ、リヴァイの顔を見上げた。
「リヴァイさん、私 ずっとずっと逢いたかったんです。やっと逢えた…」
「……俺もだ、マヤ…」
リヴァイは覚悟を決めた面持ちで、ぐっと眉根を寄せマヤの顔を見据えた。
「マヤ…、お前に聞いてほしい話がある」
その声の只ならぬ真剣な雰囲気に、マヤは緊張… いや恐怖すら感じた。
リヴァイの顔を見ると、いつもの不機嫌そうな様子を通り越して、もはや睨みつけている。
その射抜くような視線に、マヤは全身が震えるのを感じた。
……来た… 今から私 失恋するんだ…。
リヴァイさんは自分の正体を告げて、もう金輪際会うことはないとでも言うのだろう。
きっとスミスさんから 私が歌舞伎町にまで捜しに行っていたことでも聞いて、はっきり振ってくれるのだろう。
……だってリヴァイさんは、いつだって優しかったから。
きちんとケジメをつけて、私を振ってくれるに違いない。
私が前を向いて、歩いていけるように。
辛いけれど、リヴァイさんに振られて この先やっていけるかどうか自信なんかないけれど、ちゃんと受け入れないと。
……それが、大好きなリヴァイさんへの私なりの誠意だ。
マヤは、その大きな琥珀色の瞳に覚悟の色を宿した。
そしてリヴァイの話を聞くべく、彼の視線を真っ向から受け止めた。