第17章 揺るぎない想いと誓い
屋上へつづくコンクリートの階段を、一段一段上ると無機質なドアがそびえ立っているのが見えてきた。
小柄なマヤには下から見上げるそのドアが、とても威圧的に感じた。
……怖い。
リヴァイさんに、一刻も早く逢いたい。
この一か月以上もの間、どれだけこの瞬間を待ちわびたことだろうか。
あれだけ逢いたかったリヴァイさんが、このドアの向こうにいる。
このドアの向こうで、私を待っている。
でも…。
でもリヴァイさんに会って、彼の口から告げられるであろう真実を聞くのが怖い。
……俺はNo Nameだから、もう今までみたいに会うことはない…
そう告げられるのが怖い。
でも…。
でも、やっぱり逢いたい。
どうしようもなく逢いたい。
……もう何がどうなったっていい!
マヤはドアノブを掴んだまま葛藤と戦っていたが、心を決めてドアノブをまわした。
鉄のドアは、キイと音を立ててひらいた。
一歩屋上に踏み出すとそこは、一番最初にリヴァイと出会ったLIVE会場のビルの屋上と、雰囲気がよく似ていた。
無駄なものはなく、コンクリートと鉄製の柵だけで構成されている。
あのときと同じようなコンクリートブロックに、リヴァイは片膝を立てて座っていた。
マヤが来たのを見て、すっと立ち上がる。
「……マヤ…」
「……リヴァイさん…」
リヴァイとマヤは互いの名を呼んだあと、ただただ見つめ合って立ち尽くしていた。