第16章 眠らない街
翌日 ドアを激しくノックする音で、俺は強制的に起こされた。
ドアを開けると、ハンジが勢いよく入ってきた。モブリットが申し訳なさそうにつづく。
「朝っぱらからなんだ、クソメガネ」
「もう、とっくにお昼を過ぎてるよ!」
モブリットが、おずおずと切り出した。
「リヴァイさん、明後日のステージで、予定していた全12公演がめでたく終了だったんですけど…」
ハンジがあとを継ぐ。
「追加公演が決定したよ、リヴァイ!」
「……ということで追加公演が来年1月の10日までの予定ですので、我々の滞在も延長になります。特に何もしなくていいんですが、部屋だけ変更になるので そこだけ気をつけてください」
モブリットが説明する。
「そうか、わかった」
「リヴァイ、下にお茶しに行こう!」
俺は無理やりハンジとモブリットに、ホテル一階にあるスタバに連れ出された。
イングリッシュブレックファストを飲んでいると、ミケがドリップコーヒーを手に合流してきた。
ニヤニヤしながら、俺に意味有りげな視線を送ってきやがる。
……胸糞悪ぃ…。
俺が無視すると、痺れを切らして訊いてきた。
「楽しめたか?」
俺が黙っていると、聞きつけたハンジが興奮する。
「え? 何なーに? 教えてよ!」
ミケが楽しそうに、昨夜の説明を始める。
……普段ほとんどしゃべらねぇくせに、こういうときはベラベラ余計なことをほざきやがって!
「ほぉ~ なるほど。で、その金髪ボインちゃんとヤったの リヴァイ~!?」
……何がボインちゃんだ、俺がモブリットを睨みつけると、モブリットがあたふたと俺の味方についた。
「ハンジさん、そういうプライベートなことは そっとしてあげた方が…」
「今更 何言ってるんだよ、モブリット! あのシュレッダーの紙を復元したのは君なんだよ!」
「それは あなたが無理やり…」
「とにかくリヴァイ、ボインとヤって、マヤちゃんのことは忘れて、ハッピーなんだね!?」
俺が押し黙っていると、ミケハンジモブリットが顔を寄せて ひそひそ話をし出した。
「あれって、ヤってないんじゃないの?」
「フッ、どこまでも情けない野郎だな…」
「ハンジさんも言ってたじゃないですか、リヴァイさんはハシビロコウみたいに一途なんだって」
……お前ら、全部 丸聞こえなんだが!