第16章 眠らない街
俺とジョアンナは、パークMGMホテルの俺の部屋に向かって歩いていた。
歩きながらも俺の熱が冷めないように、彼女は俺の手を そのデカいケツに誘導する。
ホテルの前に広がる公園 “The Park” まで来たとき、ジョアンナが抱きついてきた。
「リヴァイ、部屋まで我慢できない。ここで抱いて」
そして勝手知ったる様子で公園の奥に少し入り、繁みに囲まれたベンチに俺を誘った。
倒れこむように そのベンチに座った俺たちは、貪り合うようにキスをした。
本能のままに舌を絡め、歯列をなぞり口内を犯す。
彼女のシャツのボタンを引きちぎろうとしたとき、俺の噛みつくような激しいキスに 息も絶え絶えになっていたジョアンナの声が、漏れるように聞こえてきた。
「……あんた、狼…」
「あ?」
「……月を背に… まるで…狼に襲われてる…みたい…」
……月を背に?
ジョアンナに覆い被さっていた俺は、反射的に振り仰いだ。
そこには、屋上で見たのと同じ 青白い大きな月が輝いていた。
……マヤ…。
俺は、ジョアンナから体を離した。
「……リヴァイ?」
怪訝そうなジョアンナ。
「……悪ぃ。抱けねぇ、他を当たってくれ」
「は?」
俺はベンチに背中を預け、月を見ていた。
……何やってんだ、俺…。
ジョアンナは散々、Fuck you! 意気地なしだのチビだの罵って、公園から出ていった。
こんなことじゃ俺…、この先一生 女を抱けないんじゃねぇか?
そんな考えが頭に浮かび、俺は誰もいない公園のベンチで一人、自嘲気味に笑った。