第16章 眠らない街
「リヴァイ、あたしも… あんたの部屋に行きたい」
ジョアンナは俺に密着するくらいの距離に座りながら、艶のある声を出してきた。
「………」
俺はチラッと彼女の方を流し目で見たが、黙っていた。
「……ねぇ」
「……ねぇったら!」
俺は吐き出すように、
「……っせーな! 酒が不味くなる、黙れ」
と返し、苛立ちを隠せずテーブルの上で拳をグッと握った。
「……あんた、意外と真面目なんだね つまんなーい。でも、ますます欲しくなったよ」
ジョアンナはそう言うと、テーブルの上で拳を握っていた俺の左手を そっと両手で包みこんだ。
「リヴァイ、あんたの手 綺麗…」
拳を優しくほぐすと、甲に円を描くように くるくると撫でまわす。
「あたし、あんたみたいな綺麗な男 初めてだよ」
そんなことをささやきながら、俺の骨ばった指を一本一本なぞっていやがったが、急に左手で俺の手を口元に持っていくや否や、ぱくっと人さし指と中指を咥えた。
その行為の反動で 上半身が彼女の方に向いた俺は、やめろと言おうとしたが、足の上に置かれた彼女の右手の動きに情けなくも、少なからず躰が反応してしまった。
ジョアンナは、右手で俺の太ももを煽情的に撫でまわす。
足の付け根ギリギリまで揉みしだき、股間まで上がってきたと思ったら 一瞬ふれるかふれないかのタッチで、離れていく。
そして彼女の卑猥な口元に、深々と咥えこまれた俺の二本の指は、ちゅぱちゅぱと厭らしい音を立てて出し入れされている。
俺を上目遣いで見るその好戦的な目は、口でする行為を否が応でも連想させる。
……クッ…。
マヤと出会ったLIVEのあの日以来、女を抱いていなかった俺の下半身は、この露骨な誘いに不覚にも熱を持ってしまった。