第3章 新たなる脅威
適当に席を見つけて5人で食べる。上鳴君と切島君と瀬呂君を中心にワイワイと話してたまに爆豪君に絡んで、それがすっごく面白くて賑やかなランチタイムとなった。爆豪君は肉中心だけど野菜もちゃんと入ったしっかりメニュー、上鳴君と切島君はがっつりラーメン、瀬呂君はだからそんなに細いんだぞ、とつっこみたくなる和食。そして私のチーズが富士山カルボナーラ。私って男の子より健康的メニュー食べてないな、これって女子力という物が失われているんじゃ...。時既にお寿司とはこの事か。
ガヤガヤと、ほかの人達も利用する食堂は大いに賑わっていたのに、1つの音が鳴り響く。
ジリリリリリ!!!
警報音とともに入る警戒レベルアナウンス。どうやら中に誰かが侵入してきたらしい。迅速に避難を開始する人々を追う形でみんなが非常口へと向かう。けど、私はそれどころではなかった。
怖い、異常なまでに。幼少期からこの警報音、サイレンの類が大の苦手で恐ろしく思えた。今となってはパトカーや、救急車などの音には慣れたものの、地震警報や避難情報、速報ニュースの音なんかでも異常にビビりまくる、怖い。私は苦手な物が多い方なのだ。そして、それは私の弱い部分の多さに直結する。弱い私は、誰かが侵入してきた者に怯えるのではなく、只々鳴り響く音に身を震わせるしかなかった。
周りを見ると、爆豪君は状況を把握しに行ったのかその場にはいなくて、切島君と上鳴君は誘導に行ったようだ。私も行かなきゃ、でも、足が、肩が震えて行けそうにない。パニックに陥る人と鳴り響くサイレンのフラッシュバック。自分がパニックになってしまいそうだ。
「原操!」
「せ、瀬呂君。」
姿が見えなかった瀬呂君が現れて、私の側まで来てくれる。様子の違う私に「どうしたんだ?」とか「大丈夫か?」と優しく声をかけてくれる。「音が、怖いの。」端的に伝えると瀬呂君は少し微笑んだ。
「もう大丈夫。みんな入ってきたのがマスコミだって気付いて落ち着いてる。サイレンも鳴ってない。」
はっ、と気付いた様に周りをもう一度見返せば。安堵の声が聞こえサイレンはもう聞こえなかった。
「ご、ごめん有難う。」
「いーえ、原操にも案外可愛いとこあるじゃん。」
「へ、?」
いやいや、かわいいって逆に何。