第2章 お前はエサだ。
真白は初めてのお屋敷に戸惑いつつも意を決して門を押し開く。
ギギッと金属が地面を擦って音を鳴らすが、開いた先、まず目の前には彩り豊かな庭園が広がった。
太陽に照らされた花は力強く咲き、甘い蜜を垂らす。
そして石畳みの一本道が洋館の入り口へと続き、その両脇には数え切れない程の小さな花がまばらに置かれ花園を作っていた。
(なんだか、ほんとに日本じゃないみたい。)
「あっれ〜、女の子だ。」
ぼっーっと目の前に広がる風景に見惚れていると、陽気な声が隣から聞こえて来た。
真白はハッとして横を向けば、180くらいはあるだろうか。
黒のワイシャツに反比例して光り輝く金糸の髪をさせた男がにこやかに手を振っては私をねぶるように見ている。