第2章 お前はエサだ。
『ここが、今日からお世話になるお家』
真白はスーツケース片手に鉄格子の門の奥、立ちはだかる洋館に目を見開く。
高さはビルの4階程あるだろう。
横幅も広くて存在感があるのに庭もそれに比例して広い。
外観は黒を基調としたレンガの外壁で落ち着きがあり、白の窓枠が高級な家屋を演出する。
まさに裕福層そのものだ。
そんな邸宅に今日から真白は家政婦として過ごす事になる。
というのも彼女は今21歳。
高校卒業してから即、家政婦として働く家族の稼ぎ柱だ。
家政婦としてはもう3年も働いているし、実力もある。
それに彼女は器用且つ、迅速な対応が出来るとして周りからは評価が高かった。
だからだろう。
社長は期待の星として今回の高額な依頼に彼女をあてたのは。
しかし、今回の依頼は少し風変わりだった。
住み込みで働くことと、住所しか教えられなかったのだ。
真白は最初戸惑ったものの高額な報酬に目が眩み、二つ返事で了承をした。
そして今に至る。
(よしっ! 社長からもらったチャンス。頑張ろう!)