第3章 もう逃げられないよ♡
『あ、サディアスさん』
ロイド
「準備早かったね?」
サディアス
「いつものことだからね。ーーそれより主が待っている、早く入るよ」
『あ、待っ』
そう言うとサディアスは何の躊躇いもなく客間のドアを押し開く。
真白は主人との対面との事で気持ちを整えようとしたが、それは呆気なくやって来た。
『つ。』
開かれた扉の奥。
まず、机を挟んだ奥に二人の男性がいた。
一人は机の椅子に座り、もう一人は頭の後ろで腕を組んで立っている。
容姿も立ち姿もなんだか絵になる2人で、真白は食い入る様に彼らを見た。
(どちらも社長にしては若いし、なによりイケメンだ。)
「やっと来たか。遅過ぎだろ」
『あ、すみません。』
そんな浮き足立つ真白に、立っている人物は苛立ちの声を上げる。
それに瞬時に頭を下げる真白だが、後ろ襟を掴まれた真白はジルによってすぐ顔を上げた。
ジル
「これはロイドに非があるんだから、謝ることないよ。ーーね、ロイド?」
ロイド
「あはは。あまりにも彼女からいい匂いがして、それを嗅いでたりしてたら遅れちゃった♡」
その可愛らしい口調と言葉に、ロイドと真白以外は盛大に溜め息をついた。
(ロイドさんは皆からも呆れられてるんだな。)