第3章 もう逃げられないよ♡
「まぁ別にいい。あんた、もっと中に入れ」
『あ、はい。』
椅子に座ったままの彼に指示をされた真白は戸惑いつつも部屋の中に入り、彼の前に立つ。
それに座っている人物はニタリと笑った。
(?)
「随分と素直だな。」
『え?』
茶髪のスマートマッシュで眉毛が見えない代わりにキリッとした紅い瞳。
見た目はクールそうだが、笑うと可愛い人だ。
「あんた、ここに来たのは何をする為か知ってるか?」
『え? あ、もちろんです!ご主人様の身のお世話ですよね?』
「ああ。だが、あんたは何もしなくていい。」
『ーーへ?』
思わず素っ頓狂な声を出す真白。
それは当然だ。
家政婦に何もするだなんて、まるでここに居る意味がない。
「あんた以外に身の回りの世話係はいるからな」
サディアス
「ええ。私たちが主についてるので」
『サディアスさんーーいやいや、待って下さい! それだと私の居る意味が…』
「居るだけで意味がある。」
『いや、居るだけって…』
ロイド
「大丈夫だよ。ここにいる限りは衣食住はタダだし、この屋敷は好きに使ってくれて構わないから♡」
私と椅子に座る男の間。
ロイドさんはニコッとした顔で私を見る。