obsidian is gently shines
第1章 お幾つになりましたか?
「ふふ」
「何がおかしい」
「ううん、ごめん。
私がリヴァイの敵になんて…
なるはずないのにって、そう思って」
「……」
「だって」
ここまで言って、黙り込む。
先程までのリヴァイと同じ様に、少しだけ俯き、視線を下げて。
ただ、リヴァイと違うのは、その頬。
見れば思わず触れたくなるような、そんな可愛らしい桃色に染まっている。
「そうだな。
何せお前は、俺の事が大好きだからな?」
「な!?
も、ちょっと…!
リヴァイらしくなくて恥ずかしいんですけど!?」
「そうか……
ついでだ。そのまま恥ずかしがってろ」
リヴァイは椅子から腰を浮かせ、身を乗り出す。
と、そのままセチアの顎を掴み、くっと上向かせた。
「!?」
「…甘い。だが、悪くない」
「あ、な、今の…!?」
白昼堂々、キスをされた。
しかもここは店内、ではなくオープンテラス。
外だ。
当然、道行く人は足を止め二人を見る。
店内にいる人も、カップを持ったまま、フォークを握ったまま、窓越しに二人を見る。
「っ馬鹿!変態!」
それだけ言うと、恥ずかしさを誤魔化すように残りのタルトを一気に頬張った。
「お前、それは…」
もう暫く聞いていないが、間違いなくナナバがエルヴィンへと向けて放っていた単語。