obsidian is gently shines
第16章 unconscious infection
「…くだらねぇ…。さっさとすませるぞ」
(クソ…)
(どうしても見ちまうだろうが……)
セチアの尻を。
今までこんな事なかったのに。
相変わらずな二人の話を聞いたせいだ。
いや違う、今も昔も変態なエルヴィンのせいだ。
まて…もしかしたらナナバから影響を受けているのかもしれない。彼女のどこに原因があるかはさっぱりだが。
もしくはおもいっきり『クソメガネェェエエエ!』とでも叫べばすっきりするだろうか。まごうことなき八つ当たりになるが。
それともいっそ、煩悩の赴くまま触ってみればいいのか?そうだ、それがいい。なんといっても自分たちは恋人同士。だから、尻に触るくらいなんてことない。はず。
「リヴァイ?どうかした?」
「!!!」
気付けば、リヴァイの右手は真横に向け真っ直ぐと伸びていた。
セチアはリヴァイの…右隣に立っている。
ガッ!!!
「こ、のファイルは……どこに移す?」
勢いよく背表紙に手を掛け、豪快に棚から引き出す。
「ふふ、何だか急に気合入ったね。
えっとそのファイルは……こっちにお願い」
「?!」
くるりと背を向けたセチア。なんてことはない、ただ背を向けただけ。だがそうすれば否が応でも目にしてしまうわけで…
「……セチア、こっち向け」
「? うん、どうかした?」
「そのまま、俺の後ろへまわれ」
「?? う、うん…。はい、きたよ」
「後の分は全部俺がやる。
お前はそこから指示だけ出せ」
「??? どうしたの?」
尻が、気になって、気になって。
そんなこと、とてもじゃないが口にできない。ましてや触ろうとまでしたなんて…
「どうもしない、兎に角全部俺がやる。
お前はそこから…俺の後ろから出るな」
「リヴァイがそう言うなら…
ありがと、近いうちにお礼させてね」
礼なら、尻を
と金魚のように口だけぱくぱくさせては、手に持ったファイルを粉砕せんばかりに握りしめる。
こうしてこの瞬間から暫く、悶々とした日々を過ごしたリヴァイであった。
fin