obsidian is gently shines
第1章 お幾つになりましたか?
「リヴァイ?」
「……敵、か」
風もないのに、紅茶に小さな波が立つ。
リヴァイが顔をあげれば、先程と同じように二人の視線がぶつかり、ゆっくりと絡まっていく。
(真っ黒なのに、透き通って見える。綺麗…)
黒曜石、といったか。
とても綺麗な宝石だと聞いたことがある。
残念ながら実物を見たことはないが、今なら何となく想像できる。
目の前で自分を見つめるその瞳は、きっとそれに勝るとも劣らないだろうから。
「お前が敵にならなきゃ、それでいい」
驚き、大きく見開かれる、長い睫毛に縁どられた両目。
(いつ見ても、似てやがるな)
ほんの少し、優しく垂れた目尻は母譲り。
明らかに異質だった自分を、仲間として、人として、疑いもせずに受け入れてくれた人。
薄く、それでいて力強さを感じる瞳の色は父譲り。
…暗く狭い場所にいた自分を、同じ色のこの空の元へと導き、連れ出してくれた人。
と、ふと頬を緩めるセチア。