obsidian is gently shines
第13章 恋人宣言
リヴァイの執務室―…
夏の終わり、まだほんの少し熱を感じる風を受け止め、レースのカーテンが柔らかく膨らむ。
セチアとリヴァイは、先程までの和やかなティータイムの余韻に浸りつつ、備え付けの簡易キッチンにて仲良く片付けに勤しんでいた。
「リヴァイ
紅茶のこと、ありがとう。
彼女とっても喜んでた」
「そうか」
あの時、颯爽と現れかつ迷うことなく恋人である、そして結婚すると宣言したリヴァイのお陰で、食堂内の空気は一変。
一気に祝福モードに。
その空気のまま、初めに考えていた通り、無事紅茶を差し入れすることが出来た。
しかもそのまま、リヴァイ以下部下である四名と、セチアと友人の彼女を交え、お茶会兼紅茶の淹れ方講座が行われたのだ。
「リヴァイにはまだまだ敵わないな。
ね、また教えてもらってもいい?」
「………」
「リヴァイ?」
「……セチア、悪かった」
「え…
どうしたの?謝ることなんて何も…」
「今まで言ってやれなくて、
すまなかった」
「リヴァイ……」
柄じゃない。
そんな照れ隠しの言葉を言い訳に
『言葉なんて、なくても平気』
そんなセチアの優しさに甘えて
(それだけじゃない…、怖かった)
今こうして過ごす日々が、あまりにも心地よくて。
だから…
もし想いを言葉にして、
何かが変わってしまったとしたら
そう想像するだけで、得たいの知れない恐怖心がリヴァイの全身を粟立たせる。