obsidian is gently shines
第1章 お幾つになりましたか?
「あのね聞いてくれる?今朝パパとママに、リヴァイと出掛けてくるよって言ったの」
「そしたらパパどうしたと思う?『私も行こう』って直ぐに出掛ける支度し出して。あ、これ、いつものことなんだけど」
「で、ママが手の甲をこう、ぎゅっ~とつねりながら『エ・ル・ヴィ・ン?』って言ったら黙っちゃった。これもいつもなんだよね。二人ともほんと仲良し!」
「それにしても…パパもタルト食べたかったのかな?ね、お土産にしたら喜んでくれると思う?」
身振り手振りと、さらには声真似まで。
動きに合わせてあちらこちらといろいろな景色を見ていたセチアの瞳。
最後にタルトをちらと見、そのまま顔をあげれば自分に向け注がれる真っ直ぐな視線とぶつかる。
(ほんと…若い。それに……)
「肌も髪も綺麗。
ね、普段どんなお手入れしてるの?」
「何もしていない」
「もう、そういう事言っちゃだめ!
世の女子を敵に回すよ?」
もし本当だとしても、適当な事を言え。
日々努力を怠れない女性達の反感を買わない為に。
そう、目の前にいる親子程歳の離れた恋人はリヴァイに釘をさす。
「………」
それに対し、無言で返す。
視線はやや下げ気味、カップにまだ半分より少し多くある紅茶を見つめて。
無表情…
だが、彼をよく知る人物には
セチアには、何事か考え込んでいるようにも見えた。