obsidian is gently shines
第12章 trust that follows
「ハンジおねえちゃん
モブリットおにいちゃん」
「「!!」」
「ふふ」
ずっと大好きな二人。
親しいナナバだったこともあるが、子連れ出勤する母子にハンジもモブリットも邪険にすることなく、むしろ積極的に関わってくれた。
小さなセチアとたくさん遊んで。
些細な疑問にも、丁寧に答え、教えて。
「久々に呼ばれたね」
「そう、ですね…」
恥ずかしいのだろうか?
少しだけ赤くなった耳と、どこか所在なさげな雰囲気の二人。
セチアはといえば、懐かしさに微笑む。
その笑顔は、あのころの小さな彼女を思い起こさせた。
「パパとママに言われたんです。
『二人なら無条件に信頼できるよ』
って」
実際、その通りだった。
言われた当時は小さすぎて、その意味を理解しきれなかったが、思い返せば二人は実に誠実に向き合ってくれていた。
『ハンジおねえちゃん、これなに?』
『あぁ、これはね、…う~ん、こっちの本だと難しいな…。子供向けの資料は……』
『分隊長、今度一緒に見に行かれては?それまでにまとめておきます』
『モブリットおにいちゃん!』
『そりゃいい考えだ、よろしく頼むよ。そうすると…モブリットも一緒だ。いいよね?』
『うん!』
『よし、こうなったらもうピクニックだ!パパとママも一緒にさ、皆で行こう』
『さんどいっち!いちご!』
『食いしん坊だね~、いいよいいよ~!元気に楽しく!…君が幸せに大きくなれますように…』
子供だからと軽く扱ったりはしない。
それでいて、子供にあわせて、丁寧に丁寧に、優しく。
「パパとママからは
『困ったことや分からないことがあれば、
二人を頼りなさい。
絶対に君を裏切ったりしないから。
自分達がそうであったように』
そう教えてもらいました。
だから、お話しました」